日産自動車の株価・銘柄分析!強みや将来性は?今後の狙いも

この記事は、以下の人におすすめ!
・業績や財務状況を知りたい
・強みや将来性を知りたい
・決算分析の時間を少しでも短縮したい

目次

事業内容

始めに日産自動車の事業内容です。
同社は、日本の多国籍自動車メーカーです。フランスのルノー傘下で、三菱自動車の株を30%以上保有する筆頭株主になります。2021年度の世界販売台数は、378.6万台です。

セレナ
(日産自動車公式HPより)
エクストレイル

主なラインナップは、”セレナ”や”エクストレイル”、電気自動車の”日産アリア”、”日産リーフ”など多種に渡ります。国外では、高級車の”インフィニティ”ブランドも販売しています。

次に、同社の強みです。

・国内トップレベルの電動化技術
・世界各地の生産拠点と販売網
・ルノー・三菱自との生産・技術的シナジー

生産拠点は、アメリカやイギリス、タイなど20ヵ国以上で生産しています。
また、欧州で販売予定の新型EV車をルノーの生産拠点で生産することや、技術面で各社リードする分野を分担するなどグループ内の連携強化も進めています。ちなみに同社は、全個体電池の技術でグループを先導しています。

さらに、将来性・強化している項目になります。2023年度までの計画で発表した内容になります。

・コア市場(日本,米国,中国,欧州)への集中
・コスト最適化
(生産能力・商品ラインナップ・固定費の削減)
・1台あたりの売上高向上(量より質を重視)

コア市場を4つの地域に分けて、各ニーズに沿った対策を進めています。また、コスト最適化では、バルセロナ工場の閉鎖協議やインドネシア工場を閉鎖しタイ工場へ機能集中するなど、固定費3,000億円カットを目標に進めています。
下図は2022年3月期の資料で、現状の進捗になります。

2022年3月期決算資料➀
2022年3月期決算資料➁

また、主な事業上のリスクになります。

・景気悪化による収益減少(高インフレ・金利上昇)
・原価高騰による利益圧迫
・競合の台頭による収益減少

さらに詳しく調べたい方は、日産自動車のホームページで確認してみてください。

業績

次に業績をみていきます。
2022年3月期決算短信を確認します。

2022年3月期決算短信

・売上高:8兆4246億円(昨年比+7.1%)
・営業利益:2,473億円(黒字化)
・経常利益:3,061億円(黒字化)
・1株あたりの純利益:55円

売上高、利益ともに前年比で伸びています。販売台数は、昨年より4.3%減少(405.2万台→387.6万台)していますが、単価の上昇為替変動の影響により、売上高は前年を上回っています。販売台数減少要因は、半導体不足による影響です。
また、ダイムラー株の売却益もあり、経常利益は3,061億円となっています。

2021年度財務実績
2021年度営業利益増減分析

上図は、2021年度営業利益増減分析(前年比)になります。注目したいのが原材料の影響で、1,392億円利益を押し下げています。

セグメント別売上高・営業利益
2021年度セグメント別売上高・利益

また、セグメント別の情報をみると自動車事業と販売金融事業があります。本業の自動車事業では1551億円の赤字ですが、販売金融事業の影響で全体も黒字に押し上げていることが分かります。

売上高・原価率

売上高・原価率

売上高推移は、あまり冴えていません。カルロスゴーン氏の不祥事以降(2019年3月期)、感染症拡大の影響もあり減少しています。2023年3月期の通期売上予想は、10兆円としています。原価率は、80%~87%で推移しています。

営業利益・営業利益率

営業利益・営業利益率

EPS(1株あたりの純利益)

EPS・1株あたりの純利益

営業利益、EPSの推移でも不祥事以降、感染症流行もあり大きく下げています。営業利益率は、-2%~7%とかなり低い企業で、損益分岐点が高い企業です。

財務状況

次に財務状況をみていきます。2022年3月期時点での状況です。

・資産合計:16兆3,715億円
・負債合計:11兆3,419億円
・純資産合計:5兆296億円
・自己資本比率:28%
・有利子負債:6兆9,977億円

・流動比率:168%
・現金及び預金:1兆4,320億円

財務状況は、好財務とは言えません。自己資本比率(28%)が低く、有利子負債比率(153%)が高いです。短期的な安定性をみる流動比率は、168%と問題ない範囲です。巨額の設備投資が必要な業界ですので、負債は多くなるようです。

BPS(1株あたりの純資産)

BPS・1株あたりの純資産

1株あたりの純資産の推移をみると、横ばいです。2020年3月期に経営不振とともに大きく資産を減らしています。

株価

次に株価をみていきます。
2022年7月24日時点の株価は、516円です。

6ヵ月チャート
10年チャート

6ヵ月チャートでみると、2022年2月の紛争時期に大きく売られて以降、レンジ相場が続いています。本決算後の動きにも大きな動きはなく、投資家も様子を見ている段階だと思われます。
10年チャートでは、現在の株価は低位圏です。不祥事前の水準は、業績もよく1,000円を超えていました。

各指標

次に各指標をみていきます。

・時価総額:2兆1,758億円
・PER(予):13.45倍
・PBR:0.44倍
・配当金(予)/利回り:5円/0.98% 
・優待:あり
・信用買残:22,441,000株
・信用倍率:19.2倍

時価総額は、2兆1,758億円で同業のスズキや資生堂、大和ハウスなどと同規模の会社です。
PER目線でみると”やや割安”PBR目線でみると”かなり割安”です。投資家からあまり期待されていない企業のようです。
また、信用買残が1日の出来高以上に積みあがっており、信用倍率19.2倍ですので短期的には上値は重たいように思います。

配当金・配当性向

配当・配当性向
配当・配当性向

配当は、2019年3月期までは多くの配当金を出していました。高配当銘柄でも人気でしたが、不祥事が起きて以降業績も悪化し、ほとんど配当を出していません。高配当銘柄への復活を果たした際には、業績はもちろん、個人投資家も増加するため株価は上がると思われます。

まとめ・個人的見解

日産自動車を総合的に判断し、中立だと考えます。
自動車業界は様々な要因があり株価の予想が非常に難しい業界だと思います。構造改革でコスト削減、付加価値による単価上昇という良い面もあれば、高インフレ・ローン金利上昇による販売減や原価高騰による利益圧迫もあります。毎期の業績や市場環境をしっかりと追って変化を見逃さない対応が必要だと感じました。
分析ポイントは、下記の通りです。

・構造改革中
・原価増加傾向(利益圧迫)
・グループで電動車強化(日産は全個体電池)
・自動車事業は赤字、販売金融事業は黒字
・株価は割安、以前は高配当銘柄

今後も日産自動車の業績や株価には注目していきたいです。

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