この記事は、以下の人におすすめ!
・メガチップスの業績を知りたい
・将来性を知りたい
・強みや事業リスクを知りたい
・決算分析の時間を少しでも短縮したい
事業内容
始めにメガチップスの事業内容です。
同社は、特定用途向けの半導体ファブレスメーカー(工場を所有せずに製造業としての活動を行う企業)です。各業界向けにLSI(Large Scale Integration 大規模集積回路)を提供しており、特に任天堂のゲーム機向けLSIが主体です。製品ラインナップは、ゲーム機・車載・デジタルカメラ・オフィス機器などで幅広い業界に製品を提供しています。
次に同社の強みです。
・LSIとアプリケーション双方に関する豊富な経験・知識
・生産委託先との強固なパートナーシップ
・世界の有力企業とのパートナーシップ
(TSMC、ARM、UMCなど)
顧客の特定製品に特化した製品を作っており、開発から参画するため、製品やサービスに関する知識も獲得しています。また、生産委託先(とくにマクロニクス社)や有力企業とのパートナーシップも強みです。
同社の将来性です。
・市場拡大が見込める分野の新規事業成長
AI・車載・通信など
・投資する会社の成長
・顧客密着・提案型営業の推進による事業基盤の強化
また、主な事業上のリスクになります。
・任天堂製品の販売減少による業績悪化
(2022年3月期売上高の80%以上が任天堂)
・生産委託先が生産不可になった際の業績悪化
(マクロニクス社で外注割合60%以上)
同社に投資をする際は、依存度の高い任天堂の業績にも注目したほうが良いと思われます。
さらに詳しく調べたい方は、メガチップスのホームページで確認してみてください。
業績
次に業績をみていきます。
2023年3月期第1四半期決算短信を確認します。
・売上高:149.3億円(昨年比▲13.9%)
・営業利益:11.2億円(昨年比▲31.8%)
・経常利益:15.3億円(昨年比+20.5%)
・1株あたりの純利益:61.6円
売上高、営業利益については昨年比で減少しています。これは主にゲーム機用LSIの売り上げが前年同期比で減少したことによる影響が大きいためです。
経常利益は、持分法適用の関連会社(SiTime Corporation)の投資利益と為替差益により昨年比で増加しています。
通期業績予想
2023年度の業績は売上高、営業利益については横ばい圏ですが、親会社株主に帰属する当期純利益では▲82.9%と大きくダウンする予定です。2022年度は、関連会社であるSiTime社の株式を一部売却したことによる特別利益(292億円)が発生しています。また、2023年度の前提為替レートは米1ドルに対して120円です。
売上高・原価率
売上高推移は、安定していません。2022年3月期は子会社が連結から外れた影響もあり下げています。また、任天堂への依存度が高いため、業績が安定しないと考えられます。原価率は、72%~83%と幅が大きいです。
営業利益・営業利益率
EPS(1株あたりの純利益)
営業利益、EPSの推移でも、安定感がありません。2021年度と2022年度のEPSは、SiTime社の保有株売却に伴う売却益により大きく跳ね上がっています。
財務状況
次に財務状況をみていきます。2022年6月末時点での状況です。
・資産合計:859億円
・負債合計:172億円
・純資産合計:687億円
・自己資本比率:80.0%
・有利子負債:0億円
・有利子負債比率:ー%
・流動比率:320%
・現金及び預金:167億円
財務状況は、非常に好財務です。自己資本比率が高く有利子負債がありません。流動比率も健全な水準です。下図の通り、2021年度より急激に財務状況が改善しています。
BPS(1株あたりの純資産)
1株あたりの純資産の推移をみると、2021年3月期より大きく上昇しています。SiTime社の保有株を売却したことによる資金増加により、純資産が増加傾向です。
株価
次に株価をみていきます。
2022年9月7日時点の株価は、2,575円です。
6ヵ月チャートでは、最安値圏です。2023年3月期第1四半期の決算を発表してからも大きく下落しているのが分かります。通期予想に対しての進捗が悪い点や、相場の地合も良いとは言えない状況のためズルズルと下げています。
10年チャートでは、大きなレンジの中間点に位置しています。業績と同様に安定しない株価をしています。
各指標
次に各指標をみていきます。
・時価総額:566億円
・PER(予):10.5倍
・PBR:0.72倍
・配当金(予)/利回り:ー円/ー%
・優待:なし
・信用買残:235,000株
・信用倍率:12.7倍
時価総額は566億円で、ブルボンやフジッコと同規模の会社です。
PER目線でみると”割安”水準、PBR目線でみると”割安”水準です。
配当金・配当性向
配当金については、期ごとにまちまちです。配当性向が100%を超える年もありました。2021年度は記念配当で45円、2022年度は特別配当で50円上乗せがありました。また、2022年度は100億円の自己株式取得をするなど株主還元にも積極的な年でした。
まとめ・個人的見解
メガチップスを総合的に判断し、業績に安定感はないですが、最近は好財務の傾向が強いため、流れが変わる可能性も感じました。資金が豊富にあるため、今後の資金の使い道は気になります。また、経営資源を成長分野(AI・車載・通信等)に集中させると明言しているため、今後の動向にも注意していきたいです。
分析ポイントは、下記の通りです。
・売上高は任天堂の販売状況に依存
2022年3月期売上高の80%以上が任天堂
・ファブレスメーカー
・成長が見込める分野に経営資源集中
・株価は割安水準
・財務状況は好財務
今後もメガチップスの業績や株価には注目していきたいです。